2026年04月28日
「明寂-その2」 東京・西麻布・日本料理
昨日は「明寂」の出汁の凄みについて記した。
今日は包丁の話から始めたい。
大根の潮煮で、出汁へのアプローチに対して敬意を評した。
次は穴子とのれそれである。
のれそれは穴子の稚魚。
穴子と稚魚を合わせ、春の到来を告げじゃばらの酸味を添える。
山菜のほろ苦さも調味料の役割を果たす。
カウンターでは中村さんが蛸に細やかな包丁目を入れる。

造りは、その蛸とひらめ。
この蛸が素晴らしかった。
細やかに包丁目が入っているので、単純に噛んだ時の感触と異なり舌の上で蛸が一気に広がり、蛸が口の中を覆い尽くすような感覚を覚え、味の深みが炸裂する。
これは包丁技の結果だ。
続く椀物
椀種は上から白鮑茸、蛤、白鮑茸、アサリとなる。
出汁はアサリ、シジミ、蛤と水と塩のみ。
この碗の出汁の深みと広がりは驚愕。
ここまでの味わいを作ることができる喜び。
マグロの焼き物
皮目に包丁が入るが左から右へと食べる。
焼き目の色具合、つまり焼きが異なる。
脂の感じ方も違う。
木の芽と大根おろし。
一切れのマグロでもこのまでの味わいの極め方が可能となる。
蟹と菜の花のスリ流し
春の香りとほろ苦さに蟹の甘味が加わり
この出会いが季節の移ろいを演出するのであった。
そして今や定番となった絹巻寿司

器に薄焼きの卵を敷く。この卵焼きは酢飯を引き立てるためにほぼ白色。
その上に酢飯を乗せ、揚げて焼いた琵琶湖の諸子。これを自ら巻く。
この全体のまとまりを手で持って食べるという行為の大切さも知る。
ごぼうと金柑の料理

ごぼうの切り方も食感が変わるサイズ。
歯応えギリギリという感じ。
黒エゴマや酢、実山椒などであえる。
金柑とごぼうの相性の良さにあらためて驚く。
カラスミ餅

これも技が効いている。
カラスミは餅と揚げを使い、食感を変えることで味の変化を楽しむ。
海水と同じ塩分濃度の水を作る。

これで十割そばを食べる。
そばを潜らせた瞬間に塩味は和らぎ、蕎麦の香りが立ってくる。
麗しいそばの誕生である。新そばの季節に水そばという食べ方があるが、
今回の香りの立ち方は素敵であった。
ハタの焼き物
皮の火入れによって素材の味を見事に引き出す。
そこに塩の力で輪郭が際立ってくるのであった。
煮物椀は
猪と芹
これも素材と自らの液体のありがたさを実感。
白ごはんの粒だちの良さ。
甘さも立っている。

ご飯のお供は、鯛の煮凝りとマグロの漬け
みかんのゼリーでさっぱりと。
桜のしんじょ
計算し尽くされ、味の到達点をどこに設定するかまで
考え抜いた結果である。
恐ろしい仕事ぶりである。
「明寂」
東京都港区西麻布3-2-34 西麻布ヒルズ B1F
050-3101-3945
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投稿者 geode : 12:15

