2012年03月16日

「リストランテ キメラ&祇園さゝ木」 京都・祇園・イタリア&日本料理 食事会

朝日カルチャースクールで3ヶ月に一度、
食事会を企画しています。

今回は、「リストランテ キメラ」 と「 祇園さゝ木」のコラボレーションです。

厨房での二人です。
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中央のオレンジのネクタイ姿が、「祇園さゝ木」の佐々木 浩さん。
その右隣のホワイトコートが、「リストランテ キメラ」の筒井 光彦さんです。
これからのスタートに、真剣たる表情。
こちらは、楽しみでなりません。

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投稿者 geode : 01:00

2007年07月27日

「古今 青柳」   徳島・鳴門   和食

今月の学会は、遠征です。
まだ、現在ほどメンバーが多くなかった5年前の師走に、徳島の「婆娑羅」で小山裕久さんの料理を食べたことがあります。そのとき食べたサワラのづけの握りは、峻烈でいまもしっかり記憶に残っているのです。

今回は鳴門に完成した(といっても庭などはこれからが楽しみ)「古今 青柳」にバスを仕立て出かけました。

鳴門大橋を渡っているときに小山さんから電話があり「ちょうど橋を渡っているところです」と答えると「ああ、見えているよ」との返事。そんな場所にあるのです。

小高い鳴門大橋を見渡すことができる陵の上に「古今 青柳」は建っています。数寄屋造りの名匠・平田工務店の作。

まだあたりが明るいうちに玄関前で記念撮影です。
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立派な庭というのか圧倒されます。
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席は、座敷。掘り炬燵式で、鳴門大橋が見える部屋です。
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先付けは
文箱八寸。これは二段になっています。
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上は、伊達巻き、車海老、百年玉子、阿波牛、唐墨大根、いちじく、スナップエンドウ、牛タン味噌漬け、鯛昆布〆、イカ黄身焼き、穴子八幡巻き、青唐さざ波、丸十、鯛西京焼、太刀魚おかき揚げ、白アスパラ
下は、ぜいたく若布
小鯛棒ずし
しっかりつまった八寸。これだけ数多入っているのですが、流石にそれぞれの輪郭がくっきり浮き上がっています。


水玉ハモ椀
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この季節はハモ。じんわりとした甘みが。

造り
鳴門鯛、アオリイカ、マグロ
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イカでありながらチョコレートのような甘さをたたえています。

蒸し物
鯛姿松前むし
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これは3キロもあろうかという大きな鯛。かなりのボリュームです。

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骨にちかい部分はしゃぶってました。

一口
ボーゼにぎり
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焼き物
カマス塩焼き、水茄子 田楽味噌
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炊き合わせ(写真ナシです)
田舎茄子、南瓜、小芋、鴨ロース

ご飯
釜炊き白ご飯 香の物 若布味噌汁
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炊きたてのごはんは、見事のひとことにつきました。

水菓子
スイカゼリー
満福鯛
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小さな鯛焼きですが、中の餡がすこぶる旨い。

午後4時過ぎからスタートした食事。何故4時なのか。この食事の約束をしたのが春先のことでした。その頃は日暮れが4時過ぎから始まるから。
とはいえ、食事の途中から次第に日が暮れ始め幻想的な雰囲気を楽しむこともできました。今回は、鯛をメインとした食事でしたが、また季節を変え、趣向のことなる献立も味わって見たいモノです。
隣接したホテルに泊まるという楽しみもあります。

古今 青柳
徳島県鳴門市瀬戸町大島田字中山1-1
088-688-1155

投稿者 geode : 04:28

2007年06月03日

「ヴィラ アイーダ」   和歌山・岩出   イタリアン

今月の学会は、大人の遠足である。
和歌山県の「宮楠農園」で畑を見学したのちに近くの「ヴィラ アイーダ」というイタリア料理店に向かう。バスを一台チャーター。京都で数名、大阪で数名乗車で一路、和歌山へ。

まずは「宮楠農園」の宮楠仁之さんからレクチュアを受けながら見学である。料理人は、すぐに生で囓る。味を確認するにはもっとも手っ取り早い方法だ。
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ズッキーニ。
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水茄子。
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千両茄子。
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シシリアン・ルージュというトマト。
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キュウリ。
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どの野菜も、元気というか色艶もよければ、しっかり実も詰まっている。

周りにも沢山の畑があるが、その農家と宮楠さんの方法論は全くちがう。周辺は小品種多量であり、宮楠さんは多品種少量。とにかく量を求め作物を作るのではなく、質を求めるのと同時に料理人が求める作物を作るという意識が高い。
よって大阪のフランス・イタリア料理のシェフからラブコールが凄い。

「宮楠農園」からクルマで10分余にある「ヴィラ アイーダ」。ヴィラとあるのは、この春シェフは結婚がきっかけで自宅を拡張、ついでに一日一組限定で宿もはじめてしまった。
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小林寛司シェフとマダムの有巳さんのチームワークが素敵だ。

この日の料理は
ズッキーニと水なすのズッパ
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トマトの透明なジュレが利いている。さわやかな酸味といえばよいのだろうか。

さや付きヤングコーン
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朝から収穫されたベビーコーンの甘さが鮮烈。

青唐、烏賊、キュウリのガスパッチョ仕立て
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酸味と辛味のバランスがいい。

三度豆とトロフィエのハーブペースト和え
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トロフィエという手打ち麺のすこしもっちりした食感にハーブの香りがあう。

じゃが芋のニョッキとプティトマト
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こっくりした味わいがニョッキを優しく包んでゆく。

オクラとパッケリ
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ナポリの幅広麺・パッケリとオクラのねばねばが素敵な相性。パスタは噛むものだという実感。ハーブとエビのだしを加えてあるので旨みが濃厚。

さざえとハーブのタリオリーニ
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さざえのこりこりとタリオリーニの食感のちがいから生まれる楽しさ。

仔羊とレモンコンフィ添え
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火入れのタイミングが的確なので、柔らかさを残しかつ仔羊の香りと旨みを凝縮させる。

茄子、白いんげん、ルーコラ・モロヘイヤのサラダ
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このサラダを食べると気分がしゃっきりとする。酸味の付け方と茄子の旨みがポイント。

セロリのジェラートとそのスープ
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セロリの葉っぱとヨーグルトをプラスし作り上げた。下には牛乳メインのソースが。いいプレゼンテーションである。

ほうれん草のクレームブリュレ
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ややかたさが残るブリュレ。ほうれん草の味をしっかり味わう。

料理はすべて終了。料理人たちとシェフとマダムに一言ずつ言葉をかける。自分たちが作った食材や直ぐ近くに優れた農園がある。「羨ましい環境やね」と言うと「ここでしかできない、食べられない料理を作っていきます」と。
それからヴィラの見学がはじまる。
輸入住宅で、一つひとつが可愛い。
「2階の壁を塗ったり、床を張ったりしました」との裏話も。

裏の田んぼがみえるバスタブ。
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ゲストがくつろげるリビング。ここはテレビもなしである。
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ベッドルームはシングルをピタリと付けてある。
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一日一組限定だが、毎日はまだスタッフの関係で難しいとか。今後が楽しみ。

記念撮影。大柄が多いためシェフとマダムが余計に小さく見える。
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ヴィラ アイーダ
和歌山県岩出市川尻71-5
0736-63-2227

投稿者 geode : 01:57

2007年05月06日

「イル ギオットーネ」   京都・東山   イタリア料理

5月の学会は、京都東山・八坂の塔そばのイタリアン「イル ギオットーネ」で開催。
シェフの笹島保弘さんは、いまノリにのっている料理人の一人である。
参加者は、「祇園さ々木」の佐々木浩さん、「いか里」の木村篤司さん、元「ジャン・ムーラン」の美木剛さん、「あやむ屋」の永沼巧さん、「トゥールモンド」の高山龍浩さんなど11名がそろった。
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2階の個室で、料理は始まった。
「前菜5品、パスタ、リゾット、フォアグラ、メインとなっております」との説明がなされたのです。
一同「前菜、5品だって」と少し驚きの表情である。

↓アジのマリネに赤ピーマンのムース トマトのクーリー
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アジのねっとりした味わいが見事。赤ピーマンの甘さも生きている。

↓うすいエンドウの温かいスフレにウニ
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ウニの強烈な甘さに負けないエンドウのスフレ。これはしばし沈黙が続く。

↓鯛と白子のムース タケノコとワカメのスープ
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出ました。タケノコにワカメ、笹島シェフの本領発揮のメニュー。
でもきちんとイタリアンなんですね。

↓アワビのコンフィ 春キャベツとエストラゴン風味
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アワビはピーナッツオイルでコンフィ。だから軽やかだし、旨みの凝縮感は素晴らしい。
「これは和食でもいけるね」との声も・・。

ここで「メニューの変更です。前菜が6皿になりリゾットは消えました」と。

↓マグロとキャビア 土佐文旦とウイキョウ
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これは話題集中。「マグロより白身」「キャビアは?」「文旦の酸味は?」などなど。
それに答えて笹島さんは「赤身の魚と酸味はイタリア人にとっては黄金の組み合わせなんです」と。そうか。「もっと広い視野でみないとね」と一同。

↓ホワイトアスパラガスの鰻巻き 烏骨鶏の卵
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これも見事な逸品。かなり大きなアスパラと鰻の相性は驚くほど素敵であった。「これも和食にね・・」。

さて、ようやくパスタの登場。
↓赤座エビと黄ニラのパスタ。
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↓最初に立派な赤座エビを見せられたので、
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それがどかんと乗っているのかと思うと、ころころに切られていた。
「これはパスタを食べていただきたい料理ですので、あえてこのようにしました。もしカタチを見せるなら、そのまま焼いて出したほうがいいのでしょうが、みなさんはそのような料理は食べておられるはずですから」とシェフの意図。なるほど、なるほど・・。

フォアグラの料理。
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これは新玉ねぎのプリン、表面はキャラメリゼ(よってパリッと甘い)。そこにフォアグラを乗せ、新玉ねぎのムースをかぶせる。この食感の差異、甘みの四重奏などなど、刺激的な逸品でした。

そしてメインはノルウェー産仔羊の炭火焼き にソーセージ
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しっかりボリュームあり。炭の香りも漂い、サブのソーセージも歯を入れると肉汁充溢である。押さえはしっかりと、ですね。

デザートは↓イチゴのケーキと、
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↓意外や意外のフランボワーズのムースをチョコレートでくるんだもの。
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「笹島さんにしては珍しいですよね」「ええ、今日初めて作りました」とのやりとり。

この日初めてというメニューは結構あったようですが、料理を媒介にして、プロが言葉を交わす。
それぞれの立場の料理人。同じ素材を前にしても考えは驚くほど違う。また食べ手が日本人かイタリア人かによっても大きな差は生まれる。いろいろな角度からとらえることの多かった勉強会であった。

イル ギオットーネ
京都市東山区下河原通塔ノ前下ル八坂上町388-1
075-532-2550

投稿者 geode : 09:38

2006年04月02日

「長谷園 なが谷母や」三重県・伊賀市 創作料理

4月学会(食環境をつぶさに吟味する集い)
今月は、春の遠足である。行き先は伊賀焼きの郷「長谷園」。ここは天保3年(18
32年)築窯して以来、伊賀焼きの伝統文化を継承しながら、常に時代のニーズに
あったモノ造りに専念してきたところ。7代目当主・長谷優滋さんが稀代の食いしん
坊で、「かまどさん」はじめ、用の美と楽を求めて陶器を造る。最近築後170年余
の母屋を「なが谷母や」として予約制の料理店に。

かつて十数年前に初めて訪れた時は、この母屋と工房のみだったが、今では3つの展
示場や体験工房など規模は拡大し、陶器のバリエーションもかなり増えている。母屋
のたたずまいは変わらず、この暖簾が情緒を漂わす。

↓表で記念撮影
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撮影者はカメラマンのハリー中西さん。

前列左から・・トゥールモンド・高山龍浩さん、祇園さ々木・佐々木浩さん、いか里・
       木村篤司さん、銘木商・永井慶和さん

後列左から・・毎日放送プロデューサー・本郷義浩さん、門上、あやむ屋・永沼巧
       さん、梁山泊・橋本憲一さん、エコールキュリネール・木下幸治さん、
       リーガロイヤルホテル・岡昌治さん
   

まずてんぷらとなる山菜がテーブルの上に置かれる

↓ふきのとう、たらの芽、のびる、すいば、からすのえんどう、たんぽぽなど
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どっしり焼かれた器の存在感も見事なもの。

↓前菜は、海ぶどう、つくし、水菜の辛子和え
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つくしのほろ苦さがなんとも春の訪れを告げる。海ぶどうは沖縄の友人が送ってくれた
ものらしい。

↓山菜
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右のたんぽぽと左のすいばはそのまま。真ん中のからすのえんどうだけ天ぷらに。
そばで長谷夫人が揚げ立てを供してくれる。その天ぷら鍋もユニークな仕掛けありで
あった。

↓立派な一寸豆の蒸し物
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この器も中に水をいれ火にかけるだけとか。ほくほくした甘さに思わず「これは
いけるな」とテーブルから声が上がる。「この皮はなんともでけへんのか」という
質問に料理人は「なんどもチャレンジしたんやけどあかん」との返事。

↓筍の味噌焼き
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これも焼き立てが登場。味噌と木の芽の味わいが筍の旨みを引き立てる。
ほくりとした食感が味わいを深める。蒸し焼きというテクニックだが、旨みが閉じ込
められている感じだ。採れ立てをすぐに食する贅沢である。

↓約800グラムの伊賀牛
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塩と胡椒をしてそのままこの「ロースト名人」という土鍋で20分焼き、休ませること
20分。一切手を加えることなくこの出来上がりだ。みんな土鍋の周りにあつまり「生
のまま入れるのですか」「味付けは?」「中心温度は何度ぐらいになっているのやろ」
などなど質問続出である。なにしろ肉焼きを極めることを、今年の目標とする料理人も
いるので「休ませる時間がもうちょっと必要かな」「たんぱく質が溶ける温度は55度
前後ですから、そこまでは上げないとね」など解説も加わる。これが学会の醍醐味とも
いえる。

↓真ん中はうまくロゼ色に仕上がっている。
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これはマスタードと塩をつけて食べると牛肉の甘さがぐっと強調される。
この「ロースト名人」はほぼ密閉になるので牛肉が縮まずドリップもでないのが興味深
いことである。

↓メインのベーコン鍋に移る
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ベーコンはかなり強いスモークがかかっていて、その香りは強烈である。伊賀名物の
山麓豚のスライス。冷薫なので豚肉にはほとんど火が入っていない。

野菜もたっぷり。しいたけ、なめたけ、水菜、せり。これも採れ立てというのがうれ
しい。水菜とせりはおかわり自由である。

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↓かつおだしにベーコンの脂分が溶け込んで、だしの旨みがどんどん増してくる
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まずベーコンだけ入れて煮るのがポイント。そのベーコンと水菜をくるんで一緒の食べる
猛者も現れ、盛り上がりを見せる。このあと「麺が欲しいな」ということになり稲庭うど
んを追加し、それをぺろりと平らげる。

↓締めのごはん
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「かまどさん」で炊き上げたふきのとうと揚げの炊き込みごはんである。
しょうゆのすこし香ばしい匂いとともに食べるのだが、あっという間に空になってしまう。

↓デザートはイチゴ
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この器も密閉度が高いので、このまま置いておいてもイチゴは冷
たくなるばかり。イチゴの甘さも格別。なんとも遠足にふさわしい宴であり、
帰りのバスではみんなすっかり眠り込んでいた。

「長谷園 なが谷母や」
三重県伊賀市丸柱569
0595-44-1511(予約制)

投稿者 geode : 02:41