2017年8月30日
「円かの杜」 神奈川・箱根・宿
年に数回 訪れる箱根・強羅の「円かの杜」という宿がある。
今回は男性5名の投宿であった。
温泉に浸かり、身体をほぐし夕食となる。
献立には
あかつきは秋めく雲の通る富士
と記されていた。
五十嵐信幸料理長からのメッセージだ。
前菜は
春菊のすり流し 岩牡蠣 かきの木茸 落花生の白和え 秋祭魚寿司(コノシロ) アロエと栄螺のポン酢。
落花生の白和えが印象的。岩牡蠣の凝縮感もよし。
御椀
黒むつ 大根餅 柚子 黒鮑茸 京丸チンゲン菜。
黒むつの脂ののり、と黒鮑茸の食感と味わいがインパクトあり。
お造り
鰹、赤烏賊。
戻り鰹の脂のうま味、烏賊は包丁を入れることでまた甘さが増す。
お造り
メイチ鯛、エゾツブ貝。
メイチは相模湾・駿河湾ならではの濃密な味。
焼物
甘鯛一夜干し 焼き新銀杏 すくな南京 芋づる金平 茗荷
甘鯛のうま味充溢の迫力。
合肴
うす蕪菁 オクラ 秋茄子含ませ 焼穴子
ビジュアル的な刺激もうれしい一皿。
穴子が生きる献立。
季節の皿
毛ガニ 添え野菜 雲丹
カニはいつも美味だ。
揚物
山女魚唐揚 石川小芋 かぶとり滑子 長芋
山女魚の持ち味の引き出しが見事。
滑子の香りもは驚きだ。
台替
飛騨牛 黄ニラ おかひじき あん仕立 山葵
牛肉の質の良さを体感できる。
食事
新潟特別栽培のコシヒカリの甘さは特級。
雪椿と新イクラ 香の物 イガイ留椀
米の味わいには脱帽状態。
水菓子
黄桃 シャインマスカット
じっくり話しながら食べる。
愉悦のひとときであった。
「円かの杜」
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-862
0460-82-4100
投稿者 geode : 10:17
2017年8月29日
「センプリチェ」 京都・中書島・イタリア料理
イタリア料理と書いたが、いまや「センプリチェ」の西山哲平さんの料理となっている。
カウンターに腰を降ろし、引き出しを開けるとナイフ・フォーク・スプーンなどのカトラリーが並ぶが、ほとんど料理を箸で食べることができる。
メニューには素材の名前が並ぶ。
おもてなし
赤いジュース 香草や野菜、ルバーブ、桃、トマト、赤紫蘇である。
すっきりとして柔らかな刺激をうける。
蛸焼き
明石焼きを思わせる。イカスミに蛸の出汁。まさに蛸焼きだ。
前菜
サラダ ライムとミントのソルベ
トマトと無花果のクリーム。
季節の野菜にこれらが乗る。温度帯と香り、食感の饗宴。
この「センプリチェ」を象徴する一品。
パスタ1
トウモロコシを詰めたラビオリ
焼き干し鮎 焼きもずく サマートリュフ
モッツァレラチーズ。
トウモロコシの甘味が炸裂。付け合せの多彩なこと。
魚
ウナギ 生パプリカ 焼き冬瓜
ウナギのカリッとした歯ごたえと身のコクには感動を覚える。
冬瓜の味わいもいいアクセント。
パスタ2
タリオリーニ
岩牡蠣 焼きトマト 茗荷 青柚子の香り
岩牡蠣の濃厚な味わいをしっかり受け止める力がある。
パスタ3
冷製パスタ スープ仕立て
鮑とオクラ カボス果肉。
これは衝撃の一皿。スープ仕立ての新バージョンだ。
肉
但馬牛 焼き胡瓜 発酵万願寺ソース
西山さんは考えた、熟成ランプ肉をいかに食べさせるのか。
野菜のパワーが見事な結果を呼び込んだ。
米
鱧で包んだ西瓜の焼きリゾット
焼き茄子出汁。
この発想に驚く。
デザートは
ミルクレモンジェラート 無花果コンポート
パッションフルーツとフロマージュ
エスプレッソにいつものミニャルディーズ。
確実に独自の世界を作り上げた感じだ。
「センプリチェ」
京都市伏見区表町582-1
075-605-4166
投稿者 geode : 10:23
2017年8月28日
「C GRILL シーグリル」大阪・中之島コンラッド大阪・グリル
今年6月にオープンした中之島にあるホテル「コンラッド大阪」のレストランに足を運んだ。
地上40階の眺望は流石に美しくテンションは上る。なんと地上200メートルである。そこからの眺望は素晴らしいというか凄まじいこと。天井高10メートルの空間には 名和晃平の 高さ5メートルの「FU RAI」が展示される。これは風神雷神像をモチーフにしたもので、その迫力に圧倒される。
バーやブッフェレストラン、鉄板・寿司などの飲食店があり、この日はシーフードグリルをメインとした「C GRILL シーグリル」となった。
はるかの彼方に拡がる大阪の夜景を眺めながらのディナーは時間の流れがゆるやかであった。
カトラリーのセッティングもシンプル。
夕陽の沈む流れによって明るさが微妙に変わるのも楽しい。
バゲットとカンパーニュ。
カンパーニュはグリルで焼き色をつけるので香ばしさが漂う。
バターは燻製されているので燻香がたっぷりだ。
前菜は大きなプレートの二人分。
雲丹の下にはマスカルポーネとトマト。
カマスは柚子でマリネ。
つぶ貝。
ケンサキイカも味わいしっかり。
マグロのタルタルには海苔と九条ねぎのソース。
魚介類が様々な意匠でお出迎えだ。
冷製ガスパチョ。
パプリカなど通常の素材に含めパイナップル・マンゴーなどが入る。
アワビを細かく切ったものとキャビアが食感と塩味を添える。
夏らしい味わいに気分がスキッとする。
魚介はマナガツオであった。
下にはクスクスがしのばせており、マナガツオとクスクスの対照的な歯ごたえが面白かった。
トーストには雲丹である。
続いてアトランティックオマールのグリエ。
香ばしさと甘味の饗宴である。
メインの牛肉は画像撮り忘れです。
アンガス牛のロースト。
インカの目覚めとジロールが付け合せ。
デザートはチョコレート
マンゴーにアプリコット。
しっかりとした味わいで締める。
気がつけば、周りはかなり暗くなり、眺望の変化も楽しい。
料理と会話であっという間に時間が過ぎてゆくのであった。
「C GRILL シーグリル」
大阪市北区中之島3丁目2番4号 コンラッド大阪40階
06-6222-0111
投稿者 geode : 10:57
2017年8月24日
「このは」 大阪・本町・日本料理
「今日は、天ぷらをメインとした組み立てにしています」と
ご主人の田中勝美さんは話してくれた。
出身の料理店が天ぷらに力を入れており、独立後も天ぷらに傾注していたが
東京や静岡の天ぷら屋で食べることにより、刺激を受け、ますます変化と進化が続いている。
田中さんはじつに研究熱心な料理人である。
天ぷらが客を呼ぶコンテンツということを理解し、
自分が学んだ天ぷらをベースに、新たな天ぷらの世界を構築したいと考えているのだ。
京都の割烹とは異なるアプローチが必要となる。
それは出汁の世界なのか、献立の組み立てなのか。
常に自問自答を繰り返す。
また同世代の料理人とのネットワークも強固で、情報交換や食べ歩きなどにも熱心である。
8月上旬の献立。
先付けはアワビ、ずいき、椎茸に酢ゼリー。
軽やかな酸味が期待感をもりあげる。
椀物は甘鯛。
これも甘鯛のアラで出汁をとったもの。
結構インパクトありの味わい。
向付けはボタン海老。
軽く炙ることによって甘味がぐっと引き立つ。
ボリュームもあり。
長崎産の平目。
ねっとりと舌を包み込む。
ここから天ぷらに移る。
まずは泉州の水茄子。
揚げたところになんと辛子醤油をハケで塗る。
「水茄子に辛子があうんで、やってみました」と。
それを紙袋に入れ手渡しである。
いきなりのパフォーマンスに一同興奮。
クルマ海老。
コロモはやや厚め。
「グルテンの重要さを感じています」と。
中は半生状態で甘味があふれる。
八代オクラ。
兵庫県の特産。
ねっとりとしながらも弾ける旨みが秀逸。
のどぐろ。
脂ののったのどぐろを見事に揚げる。
脂の逃し方と残し方のバランスが見事だ。
メゴチが出た。
これは関西では貴重な食材。
天ぷらにして力を発揮する食材。
落花生。
驚きの一品。
香ばしさと食感にやられる。
岩牡蠣。
濃密で味の濃さは第一級である。
口の中からミルクを感じるほど。
箸休めはいしかげ貝と金時草。
雲丹は海苔で巻く。
山葵との相性はいうまでもなし。
とうもろこしは未来コーンという品種で生食可能。
甘味の凝縮感を楽しむ。
鱧の子を金時草で巻いて揚げる。
これはかなりの衝撃であった。
サクッと揚がった金時草の奥から鱧の子がこぼれる。
愉悦である。
天丼のかき揚げも素敵。
スイカと雪塩を使ったデザートも秀逸。
抹茶で締める。
コースの中で4品ほど天ぷらを出す場合とコロモの付け方も揚げ方もちがう。
進化する「このは」の料理に拍手であった。
「このは」
大阪市中央区南本町2-6-22 プルミエール南本町 1F
06-6243-0228
投稿者 geode : 10:40
2017年8月22日
「和食晴ル」 京都・高倉綾小路・日本料理
久しぶりの「和食晴ル」。
「今日は遅い時間からいっぱいなんです」と。
とはいえ、カウンターはほぼ満席状態。
コースではなく、単品で食べることができる。
こういった店が元気である。
白きくらげとオクラ、トマト。
爽やかな口当たりでスタートする。
長崎県のヤリイカ。
包丁目が細かく入り、甘さが滲む。
この甘さに驚く。
とうもろこしのかき揚げ。
これは定番で、この時期のごちそうである。
蛸の柔らか煮。
この色合から想像する濃密な味わい。その通りだ。
穴子の天ぷら。
ムチッとした食感と妙なる味わいのバランス。
生麩のバターソテー。
ヨモギとかぼちゃの二種。バターの風味がいい。
晴ル風鯖スシ。
このスタイルがうれしい。ねぎがよくきいている。
最後はご飯か和牛しゃぶか迷い、後者となった。
上品な牛肉の甘さが身体に元気を運んでくれるのであった。
暑い季節の冷製牛しゃぶは素敵。
気兼ねなくリラックスして食事が楽しめた。
「和食晴ル」
京都市下京区神明町230-2
075-351-1881
投稿者 geode : 10:34
2017年8月21日
「カフェ工船」 京都・河原町今出川・コーヒー
久しぶりの「カフェ工船」。
休日の昼下がりに訪れた。
カウンターの中から
「今日はイルガチェフのナチュラルが深焼きです」と。
「こってり ですか あっさりですか」
「こってり です」
これで決まり。
同行の友人は「おなじのをあっさりで」
となった。
こってりはコーヒー豆30グラムで90CC抽出。
あっさりはコーヒー豆30グラムで180CC抽出。
抽出はネルドリップ。
4枚はぎのネルをなんとヤカンで温める。
この姿がなんとも愛おしい。
右手と左手の動きのリズムがいつも一定だ。
湯の細さと速さによって味わいは微妙というか結構異なるのだ。
90CCのコーヒー。
こってり まったり だが喉を通る感覚はするりとおちてゆく。
苦味の粒が拡がり、そこから僅かな甘い芳香が生まれる。
好みを知られた感じである。
そこにオオヤミノルさんが現れ、関西のうまいもん話が飛び交う。
ストレートでナチュラルなスタイルが心地よい。
いちどゆっくり話とコーヒーのデモストレーションをしてもらいたいと思った。
旧い焙煎機はいまだ現役である。
これも頼もしい。
「カフェ工船」
京都市上京区河原町通今出川下ル梶井町448
清和テナントハウス2F G号室
075-211-5398
投稿者 geode : 10:38
2017年8月18日
「BOOCHIC」 大阪・中之島・フランス料理
先日、おとなの遠足(岡山・吉田牧場ツアー)で一緒になった「BOOCHIC」の船岡勇太シェフの料理を食べた。
以前は「DUMAS」という店名であった。
「BOOCHIC」とは
BOUTIQUE ・・・主張や独自性を持つ専門店
BOO・・・可愛い
CHIC・・・上品で粋な様、垢抜けている
という3つの言葉を繋いだらしい。
休日のランチは、ほぼ女性グループで満席状態であった。
日差しも入り込み、柔らかな雰囲気が素敵だ。
テーブルの上の置かれたカトラリーが美しい。
重ねてあるのだが、それがシックでもある。
枝豆の冷製スープにはビールのグラニテが入る。
枝豆の香りと味わいにビールの僅かなほろ苦さが加わることで、枝豆の味わいに膨らみを感じる。
パテ・アンクルートである。
これは生地でくるんで焼き上げ、冷製にして供する料理。
中身は鶏肉、トリュフ、リードヴォー、フォアグラなどが詰まる。
しっかり食べごたえのある一品で、フランス料理が持つ歴史を感じ、シェフの思いの深みも一緒に味わう。
メインは肉と魚からのチョイス。
僕は肉。豚ロースの料理。
ビーツのソースとイチヂク。
クラシックでありながらモダンな要素もプラス。
デザートはクレームブリュレ。
厚さがピタリと決まる。これは厚みも味に影響を与える。
エスプレッソで締める。
居心地のいい空間で、ゆったりしたランチとなった。
「BOOCHIC」
大阪市北区中ノ島3-6-32 ダイビル 本館 2F
06-6136-5008
投稿者 geode : 10:41
2017年8月17日
「味彩のと与」 京都・錦市場・鰻
現在発売中の「あまから手帖」は「上方の鰻、天ぷら、蕎麦」の特集で評判がいい。
鰻は、10軒中9軒が地焼である。
その中の一軒、京都・錦市場の「味彩のと与」。
明治時代から続く川魚専門店が営む飲食店である。
「のとよ西店」の2階。
階段を上がると焼き場が見える。串打ちされた鰻にタレがかかる。
場所をこまめに変え、焼いている姿につい胃袋が激しく反応する。
肝焼きを食べる。
肝の苦味とタレのコクが生み出す一体感。
さあ鰻丼。
まずは鰻を口に運ぶ。
皮目のパリッとした感覚。これぞ地焼の醍醐味。
身のほうはふんわりとしている。
これは二度焼きがなせる技なのである。
まずは白焼き状態にする。それを注文が通ると仕上げるというわけだ。
焼き立ての地焼の感触と味わいには、思わずほころんでしまう。
身体に元気がみなぎってゆくようだ。
「味彩のと与」
京都市中京区錦小路通柳馬場東入東魚屋町173 2F
075-231-0813
投稿者 geode : 10:40
2017年8月10日
お休みのお知らせ
いつも門上武司のおいしいコラムをお読みいただき
ありがとうございます。
明日(8月11日)より8月16日まで、
コラムはお休みとさせていただきます。
8月17日より再開いたしますので
どうぞよろしくお願い申し上げます。
投稿者 geode : 14:51
「ほうば」 大阪・北新地・韓国料理
韓国料理というカテゴリーだが、ここを純粋に韓国料理と呼んでいいものか、いつも考える。
というより、料理にカテゴリーが必要かどうかということにつながる。
明確にそれぞれの料理の定義を説明できるかもあやふやな時があるのだから。
4名の会食。
スタートはいつものナムル15種。
これでテンションは一気にあがる。
野菜を効果的に提供するスタイルとしてかなり上位に入る。
これは紛うことなく韓国料理だ。
つづくのはチヂミ。チヂミは韓国料理である。
この日はとうもろこしと落花生のチヂミであった。
とうもろこしはまさに季節食材、甘味がすごい。
落花生の食感たるやうれしくなってしまう。
アワビのおかゆ。
全面アワビに覆いつくされたおかゆ。
おかゆよりアワビが多いのではないかと思う。
これは定番である。
ふかひれと松茸の鍋。
「これはたまらん!」と同席の友人が叫ぶ。
彼のツボにはまったのだろう。
贅沢な重ねだ。
鮎の焼き物。
夏になるとどこでも鮎は供されるが、この形は珍しい。
香ばしさもあって素晴らしい。
水茄子と由良の雲丹。
雲丹の甘さが茄子によって増幅される。
甘さが蜜のように感じる。
冷麵ですっきり。
これがないとしまった感じにかけるのだ。
マッコリのシャーベットとマンゴーソース。
いつも期待を裏切ることのない献立の数々。
この夜も楽しい食事となった。
「ほうば」
大阪市北区堂島浜1-2-1 新ダイビル 2F
06-6456-0080
投稿者 geode : 10:41
2017年8月 9日
「川原町泉屋」 岐阜・元浜・川魚料理
二年ぶりに訪れた。
鮎を焼くために生まれてきたのではないかと思う「河原町泉屋」の当主・泉善七さん。
鮎を中心としていろいろな料理が生まれる。
熟れ寿司の源流を訪ねる旅にまで出かける人物である。
訪れるたびに新たな献立や進化した料理が登場する。
最初は鮎の骨を練り込んだ鮎のグリッシーニが出る。
ここから鮎の始まり。
突き出しは
鮎の熟れ寿司 右が子持ち 左が天然
壺の中はうるか。
もう一品の突き出しは
だし巻き
十六ささげに鮎の内蔵・マヨネーズ
うるい
季節の野菜のサラダには熟れ寿司の飯を練り込んだソーセージ。
食感も味わいも変化に富みうれしい。
鮎の熟れ寿司の飯に生クームなどを混ぜる。
鮎のリエット。
という二種のパテを味わう。
さあ鮎の塩焼きである。
一尾目は長良川 郡上の鮎。
焼きは見事だ。頭からすっぽリ食べる。
これぞ鮎の塩焼きの王道。
続く二尾目は 和良川の鮎。
これはすごみがある。身がふっくらしっとり脂分もある。
そして肝の苦味も違う。この日は和良川に軍配を上げたい。
三尾目は 益下川(飛騨周辺)の鮎。
これは鮎のうるか焼き、少し味醂が入る。
香ばしさと甘味のハーモニーがきれい。
そして一気に頬がほころんだ
味女どじょう。貴重なだけに二年に一度の収穫。
サクッとしており、このサイズだと子持ちがいる。
プチッと弾ける卵のサイズも驚き。感動の一皿。
牛すじ煮込みには熟れ寿司の飯が加わる。
なんとピッツァまで登場。
生地にアンチョビならぬ鮎チョビと氷魚(稚魚)が入る。
これはここでしか生まれない一品。
締めは鮎ラーメン。
スープも麺も変わり、すごい進化だ。
佃煮。
飛騨山椒のアイスクリームですっきり。
やはり夏にはここを訪問するべしだと実感した。
「川原町泉屋」
岐阜市元浜町20
058-263-6788
投稿者 geode : 10:56
2017年8月 8日
「八楽」 京都・下河原・中国料理
京風中華の雄である。
ふと、ここの「冷やし野菜」という料理が食べたくなる。
細切りの野菜を数種和えた料理なのだが、どこか心根に響くのだろう。
下河原の片隅にひっそりと佇む名店である。
この日もその冷やし野菜から始まった。
全体に柔らかな食感と野菜のシャキシャキ感がうまく絡み合っている。
なにげない素材から感動を生み出した傑作といえる。
春巻きは「熱いですからお気をつけください」というセリフとともに届く。
真ん中から切り、空気に触れ温度を少し下げてから食べる。
少しあまめのあんと野菜が寄り添いながらうまみに変わってゆく。
若鶏の唐揚げ。
これは名物の一つ。コロモのサクッとした香ばしさとジューシィな鶏肉の弾力とのマッチングであっという間に胃袋に収まってゆく。
水餃子は海老とニラの2種類。
餃子は皮を食べる料理といってもよい。
それが実感となる献立。ニラや海老の力を借りて皮のうま味も上々!
カニ玉甘ず。
甘ずと表記されたとおりの甘味が全面にでる。
これも街の中華料理の楽しいところ。カニと甘味の饗宴をたのしむ。
五目炒飯。
シンプルかつうま味があふれる一品。
常連客では、これをお茶漬けにする人がいるぐらいだ。これが京風中華の由縁である。
安心感をしっかり感じ帰路についた。
「八楽」
京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル2丁目上弁天町428-5
075-541-5898
投稿者 geode : 10:40
2017年8月 7日
「花いち」 名古屋・浄心・日本料理
ようやくたどり着いたという感じである。
数年前に友人から情報を得て、仲間に伝えたところ相当数が訪れ「あそこは旨い!」「最高やね」「天むすを食べないと・・」などの感想が山のように届いた。
その仲間の一人と「花いち」に足を踏み入れた。
住宅街の中、店名が分かるものが見当たらない。
期待感が膨らむ。
靴を脱ぎ、カウンターに座る。
献立がある。手書きの文字。
そこには「八千二百六十五蕃」という文字がある。
つまり、開店して以来8265日目の夜を迎えるということ。
どの料理も「食べてください」とささやきかけるようだ。
ご主人と奥様のコンビネーションが素敵だ。
酢みそ。
サザエ、げそ、青柳、パプリカ、アスパラが入る。
酢のあたりがとてもやわらかい。優しく胃袋にかろやかにアタック。
豆腐(自家)
少し舌にざらつきを感じるが、大豆の味わいが深い。
醤油をたらすと甘味がでる。この豆乳を飲むと、喉が鳴る。
水茄子・貝柱生姜みそ。
生姜みそにくるまれた水茄子の崩れ方と貝柱のうま味がいい。
だし巻き。
出汁のきいたふんわり加減が品をかんじさせる。
あなごと万願寺唐辛子。
さっと炊いた穴子の爽やかさと万願寺唐辛子のコクが見事に融和。
牛肉と茗荷の鋤焼。
やや甘めの味付け、この茗荷の存在感の大きさには驚き。
〆あじ握り。
うま味と脂分の素敵な出会いを楽しむ。
天むす。
これはこれまで食べた天むすのなかで上位にランクされる。
品格があるというか、ご飯と天ぷらのバランスの良さに感動。
味噌粕汁。
野菜がたっぷり入る。粕の甘味もポイント。
いなり寿司。
かなり水分の多いタイプ。
初めてやってきたのだが、お二人の優しさと美味に酔いしれた食事の時であった。
「花いち」
愛知県名古屋市西区児玉2-4-13
052-524-2876
投稿者 geode : 10:50
2017年8月 3日
「串揚げtoshico」 京都・下鴨北大路・串揚げ
京都下鴨本通りと北大路通りの交差点北側にひっそり佇む黒い建物が
「串揚げtoshico」である。
定期的に食べたくなる一軒。
店主の性格がじつによく反映されていると感じる。
カウンター後ろにはターンテーブルとレコードが揃っているが、それはまだ使われていない。
CDも揃い、ポップな音が流れている。そのリズミカルな音がいい感じだ。
サラダが置かれる。
この時期の瑞々しい茄子はインパクトあり。
まずは海老が届く。
レモンと塩だ。甘味がぐっとくる。
牛フィレは素材の質が問われる。
すっきりしたうま味。
酸味のある前菜。
ズッキーニにはトマトとバジルをはさむ。
一気にイタリアンテイストになる。
蛸は醤油ベースのソースがぴったり。
噛み心地よし。
鶏のミンチにはとんぶり。
これも定番化している。バランスの妙が素敵だ。
ドラゴンフルーツを平目の昆布締めで巻く。
このマリアージュが実を結ぶ。
みょうがを豚肉で巻く。
みょうががこんなにいい仕事をするのは想定外。
冬瓜はコロモにシラスを加え、新たな食感と味わいを深める。
松茸登場。
香りはまだ弱いが噛むとエキスが出てくる。
サーモンにイクラ。
これは親子関係だ。定番化しており安定した味わい。
この季節はハモ。
揚げることでふんわりとした歯ざわりとなる。
レンコンにはカレー風味のミンチが入る。
ここにはウスターソースが決めてとなるように感じた。
締めには串茶漬け。
ご飯である。出汁の中につけると出汁の味わいにも変化があり、なんかホッとした気分となる。
デザートはムースにマンゴーのピュレ。
コースとしてのバランスの良さ、仕事の丁寧さに美しさなど、食べる環境の良さもここの利点である。
「串揚げtoshico」
京都市左京区下鴨本町11-1
075-724-1045
投稿者 geode : 10:24
2017年8月 2日
「エルクコーヒー」 大阪・西天満・コーヒー
西天満の「エルクコーヒー」は溜まり場となった。
ここでコーヒーとスイーツの相性を検証する「コーヒー夜会」を開催することもあれば、飲食関係や法曹関係などの人達が集い、いつのまにかコミュニティができているような感じである。
また常連客が旅先から気になるコーヒー店の豆を持ち帰り、ここで試飲することもある。
この日は、訪れたところの常連客が持ち帰った九州・博多のコーヒー店の豆が届いたところであった。
マスターの「どちらにしますか?」という言葉で、いつもはシナールマンデリンを飲むのだが、ハラールモカにした。
ネルドリップでの抽出は変わらずである。
ハラールモカが持つ程よい酸味と香りのバランスが素敵だと感じる。
そして豆のポテンシャルの高さにも唸ってしまう。
ラヴィルリエの特製チョコレートもいい。
ツナサンドをオーダーした。
コーヒーを残し、サンドイッチを食べる。
トマトの酸味、レタスのシャキッと感が食欲を刺激する。
その後、ハラールモカを飲むと確実に苦味などを感じ、その変化に少し驚く。
温度が下がったことも関係しているのだろうか。
陶芸、古書店、コーヒーの分量などいろいろな話題が飛び出す。
つい、足を運んでいしまう一軒である。
「エルクコーヒー」
大阪市北区西天満4-6-5 イヅツビル1F
06-7651-4036
投稿者 geode : 10:20
2017年8月 1日
「原正」 大阪・谷町9丁目・寿司
夜の8時半。
寿司を求めて九州や和歌山、京都から集まる。
この時期は魚が厳しいと思うが、店主の石川さんは
「工夫をどれだけできるか楽しい時期でもあります」と話す。
江戸前でもなく、といって関西風を頑なに標榜するのでもない。
いわば双方のいいところを巧くミックスした感じだ。
ええとこ取りは、往々にして失敗を招くこともあるが「原正」は見事な着地をしたのであった。
この日は最初にあてを二品、そこから寿司というリクエスト。
鮑が出る。
この歯ごたえがもたらす快感がスターターとなる。
蛸が続く。
これもまた噛み心地がうまさにつらなる。
さあ、にぎりのはじまりだ。
画像はないが、包丁目を細かくいれた
イカの食感と甘みの演出には頭が下がる思いだ。
明石の鯛がいいあぶらを持っている。
つばすの艶めかしさが食事の時間を楽しくする。
マグロのづけがうれしい。
鉄分と醤油の香りが美しい味わいを供す。
中トロは脂分が持つ甘みが勝負となる。
しんこは酢の加減がたまらく優しい。
穴子のツメの上品なこと。
つぶ貝のねっちりとした歯ごたえがいい。
イワシだが、このうま味はなんだ。
つづく北海道のイワシは脂ののりが半端ではない。
これはリピートしたい。
利尻の雲丹は甘みと香り。
ネギトロは海苔の香りとあいまって別の味わいを生み出す。
鱧と鯛のアラでとった椀物。
これが素晴らしいのだ。
濁らず清々とした味わいに感動を覚える。
海老は温度と香りである。
干瓢巻は山葵のきき方が鋭い。
巻き寿司といなり寿司。
安定感があり、安心して食事が楽しめる一軒。
「原正」
大阪市天王寺区上汐3-8-9
06-6773-5518
投稿者 geode : 10:55