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2026年04月27日

「明寂-1」 東京・西麻布・日本料理

日本料理に大きな変化が生まれていると思う。

ここ30年ぐらいは京都の料理界がアカデミアとの協力関係などで日本料理を体系化に努め、牽引してきた感が強い。
京都の料理が日本料理の中心という印象を持つ人たちも多い。
それは大きな動向であったが、最近、東京や地方で、そのフォーマットとは異なるアプローチを試み、新たなベクトルを感じる料理店も現れてきた。

その一軒が東京の西麻布の「明寂」の中村英利さん。
2022年に独立し、わずか4年でミシュランガイドの三つ星を獲得、アジアレストランガイドベスト50では、33位にランキングされた。
京都の「まる多」や徳島の「青柳」で仕事を覚え、日本料理店で料理長を務めた後に独立を果たした。

 

料理そのものを再度検討した。
料理界では、分解と再構築という手法が取られることが多かった。

食材と調理法などの関係を一度ゼロにして考える手法だが、中村さんは素材へのアプローチを手掛かりに研究を重ね、新たな料理法を生み出す。
その一つは昆布と鰹の出汁からの脱却であり、水と塩と食材だけで立派な一皿を作り出す。

一つの食材を生かすには、出汁のうま味が必要か、という視点から液体の在り方を構築する。
伝統という手法の枠を取り払ったところで、これまで踏み込んでこなかった日本料理を作り上げようとする姿勢が見事である。

 

その代表的な一皿がこの日、最初に運ばれた「大根の潮煮」である。
器の中には銀杏切りをした大根と煮汁のみ。

水と塩だけで大根の自然な甘味を引き出している。
まず大根を口に含む。
優しくまあるい大根の甘味が口中に広がってゆく。

続いて煮汁を飲む。その甘味の余韻を感じるうまさが喉を通ってゆく。
潔いというかシンプルにして切り口鮮やか。
この一皿で中村さんが目指す料理感をしっかり受け止めることになる。

これまでもさまざまな料理を食べ、インパクトを覚えてきたが、
この大根の潮煮からの衝撃は、ここ数年間では記憶に残る一皿と感じた。

 

 

出汁の凄みは、これだけにとどまらない。
加えて包丁の仕事ぶりがまたすごい。

具体的な料理は明日以降に続きます。

 

 

「明寂」
東京都港区西麻布3-2-34 西麻布ヒルズ B1F
050-3101-3945

 

Web連載「amakara.jp」=====
門上武司のグルメ旅「皿までひとっとび」
門上武司の旅vol.18:オープン2年余で長足の進歩。見事な衣の天ぷら店、静岡『なかむら』
門上武司の旅vol.19:トッププロの信頼厚き鮮魚店、静岡『サスエ前田魚店』

 

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森 義文(カハラ・オーナーシェフ)
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投稿者 geode : 11:14