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2017年05月23日

「Basic」 札幌・西10丁目・珈琲店

店内のカウンターに腰を下ろす。
バックカウンターに据え付けられた大きなスピーカーからクラシックの妙なる調べが流れてきた。
店名のプレートには「深煎りの珈琲」という文字が目立つ。

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この深煎りというだけで、なんだか嬉しくなる。

メニューを見ると、珈琲豆の分量と抽出量が記されている。
15グラム 120CC
25グラム 120CC
となっている。当然のことながら25グラムを選ぶ。
一杯目はイエメンのモカマタリ。
淹れる姿をみているとネルドリップである。
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そのドリップの形、上部より下部のほうが広がっている。
自家製でネルの生地は大阪の生地屋から取り寄せているという。
4-5種類用意されていた。

点滴抽出である。蒸らしをしっかりだ。
温度は80度と話すが、「じつは焙煎仕立ては80度なんですが、時間が経つにつれて毎日少しずつ上がってゆきます」と教えてくれた。
これにはいささか驚いた。豆の熟成度合いによって温度を変えるのだ。

モカマタリがでてきた。柿右衛門のカップだ。
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温度はおそらく70度以下になっていただろう。
かなりの深煎りである。モカの酸味を残しながらも苦味が全体を覆っている。
これはとても感動的な出会い。

続いてマンデリンを頼む。
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これも同じ抽出である。
やはり柿右衛門のカップだ。
マンデリンが持つ苦味はたっぷりあるのだが、飲みくちが軽やか。
これはかなり上質なマンデリンと淹れ方の妙味だと思った。

「こういった深煎りのコーヒーを残さないと、と思ってずっと続けています。若い方がどうしてもサードウェーブ系に行かれるのでね。モカをここまで深く煎るところはほとんどないです」と。
同じ思いで、大いに話しが盛り上がる。
「大坊珈琲店」の大坊さんが来店されたときのことなど。

じつはトーストも頼んだ。
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比較的分厚いスタイル。どちらかといえば、薄切りが好み。
だが、この焼き色とバターの具合が素晴らしく、ジャムをつけた適度な甘味もいい感じだ。

メニューを再度見ると、エキスコーヒーというのがある。
なんと30グラム 80CC。
これは飲まねば!だ。
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抽出時間も、前の2杯よりゆるやかだ。
ややとろりとした飲みくち。
当然のことながら苦味が強いが、なんとその中から甘味がぐっと持ち上がってくる。
これにはやられた。
次回も飲みたい一杯である。

気がつくと2時間近く「Basic」にいた。

「Basic」
札幌市中央区大通西10丁目 南大通ビル地下1階
011-271-9043

投稿者 geode : 01:46