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2019年08月23日

「柏屋 大阪千里山」 大阪・千里山・日本料理

毎月第一日曜日
男性ばかり、それも料理人が中心の勉強会を続けている。
名付けて「食学会」である。それが200回目を迎えた。

初回、100回、150回と節目の学会は千里山の「柏屋」で行っている。
200回目も「柏屋」での開催となった。

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100回目は、主人の松尾さんが学会に参加して刺激を受けたことから
インスピレーションを受けた料理が中心となった。

150回目は染めの大家・吉岡幸雄さんをゲストに迎え
「日本の色」をテーマに講義と食事であった。

200回目は京都の「古美術 梶」の梶高明さんをゲストに迎え、
道具の話を聞き、北大路魯山人などの器で料理を食べる嗜好となった。
そして「柏屋」香港店の料理長を長年務めた高橋さんと松尾さんの饗宴となったのである。

伊万里の器のあり方などをレクチャーしてもらい、いよいよ料理に移る。
松尾さんから配られた書にはこう記されていた。

「夏の果てに」 大暑〜立秋
空を見上げることもかなわない炎天下、逃げこむように木陰にもぐり込む。
厳しい暑さに辟易とし、夏の日が尽きることなく続くように思えてくる。

熱く汗ばむ身体をその大きな緑陰に預けていると、身体の熱気も落ち着き、
ホッと暑さから解放されてゆくようだ。

夏の陽を取り合うように茂る緑の葉を見上げると、
そよそよ、そよそよと揺れている様子が目に映る。静かに羽音がそっと触れてくる。

ゆるりとそよぐ風はいまだに温かいが、昨日までのそれとな違い僅かに涼やかさも混じっているようだ。
夏の盛りを過ぎ、次の季節の気配が感じられる。

今では夏の行事の感がある七夕ですが、元は本暦七月七日(新暦の八月初旬頃)に行われていました。
二十四節気でみると立秋の前後にあたり、夏と秋の交叉の祭りとされてきました。

七夕は中国の「乞巧奠」が奈良時代に日本に伝わり
「棚機津女」という日本の伝承と習合し七夕の行事となりました。

という季節の挨拶が添えられていた。

料理は松尾さんと高橋さんの饗宴。
香港で学び感じ、考えたことが如実に現れる内容であった。

松尾さん
「最初は千里山の柏屋の料理を提供していたのですが、確実に高橋の料理が出るようになり、
それが支持されるようになりました」とのこと。
これは親方にとってじつに嬉しいことである。

料理は以下の通りである。

先付
あこうの昆布締め 岩茸 長芋 山葵 松菜 煎り酒
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紫雲丹 帆立 青芋茎 マスカット 煮こごり 花穂紫蘇むしり 松の実クリーム 
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この姿は高橋さんの仕事。ダイナミックで印象的。

煮物椀
伝助穴子葛叩き 蓮根葛豆腐 このこ蒸し炙り 十八大角豆 擦り生姜 削り柚子 
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蓮根葛豆腐が歯に当たる感覚が見事。器は北大路魯山人の日月椀。
この塗りの話を聞く。金銀の下には朱が下塗りされていて、その風合いも味わい。

造里
鱧3種造り
漬け炙り 紅蓼
一枚落とし 花穂紫蘇
叩き寄せ メジソ
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香り、食感、味わいそれぞれ特徴ありで楽しい。

凌ぎ
玉蜀黍すり流し 鮎叩き寄せ 蓼オイル
鮎の苦玉の味わい 蓼の味わい
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八寸
毛蟹ピカタ アボカドあられ寄揚げ 辛子松前醤油
蜆 赤芋茎 松の実 焼き椎茸 胡麻和え
鮑軟蒸し 肝ダレ 銀杏素揚げ
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焼物
鮎塩焼き 蓼酢おろし
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鮎煎りだし 紫蘇酢
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強肴
鳩低温煮 味噌だれ
人参真蒸 万願寺ししとう 実山椒オイル
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この鳩が美味。

箸休
パプリカすり流し
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鳥飼茄子 車海老旨煮 インゲン 針生姜
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御飯
骨董飯 鰻蒲焼 木耳 飛びあら海老
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骨董飯とは炊き込みゴハンのことらしい。

水物
鬼灯トマト 梨 パッション羹
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菓子
白汁こ 小茄子茶巾
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渾身という言葉がよく似合う料理であった。
貴重な体験となった。

「柏屋 大阪千里山」
吹田市千里山西2-5-18
06-6386-2234

投稿者 geode : 01:14