2019年02月22日

「成生」 静岡・鷹匠・天ぷら

ああ、天ぷらが食べたくなる。

静岡駅からタクシーに乗り「鷹匠町の天ぷら・成生にお願いします」と運転手に告げる。
この2年ぐらいで反応が変わった。
ほぼ「予備校の角を曲がったところですね」と理解してもらえるようになった。
カウンター7席。

野菜の処理から始まる。
7人の視線が、志村剛生さんの手元にクギ付けになる。
魅せる下ごしらえである。

「食材に包丁を入れた時の感触で水分量などがわかるので、コロモをどうしようか考えています」と。
一つひとつの食材に対して油の温度、コロモの厚み、油に入れる時の角度などを一瞬にして設計する。
そのためにギリギリまで仕事はしない。

だが、毎朝、焼津の「サスエ前田魚店」で魚を仕入れる前には店に入り、
コロモとなる小麦粉を細かくふるい空気の層を作りマイナス50度のストッカーで貯蔵する。
「これをするかしないかでコロモの感じは大きく変わります」と。

そんな下仕事があっての天ぷらだ。

アジの天ぷらは、鮮烈である。
19022278.jpg

艶やかな存在として、私たちの前に現れる。
アジが持つ脂分がにじみ出る。もうこれ以上は待てないという感じだ。
むっちりした食感に思わず笑みがこぼれ、そしてその圧倒的な抑揚に舌が興奮してゆくのであった。

続きを読む “「成生」 静岡・鷹匠・天ぷら”

投稿者 geode : 01:02