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2017年12月27日

「成生」 静岡・鷹匠・天ぷら

静岡に「成生」という天ぷら屋がある。主人は志村剛生という。
一昨年夏に出会って以来、ずっと通いつめている。

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ここ5年間で、もっとも感動した料理店である。
天ぷらという料理の概念が変わったと言っても過言ではない。

天ぷらとは「揚げる」ということだけなく、そこには「蒸す」「焼く」「余熱で火を入れる」などの仕事が潜んでいることを学んだのだ。


志村さんは、客がカウンターに座ってから食材の下ごしらえをする。
初めて食材に包丁を入れる。つまりその触感で、食材が持つ水分量や質を見極めるのである。

その感触からコロモの厚さ、油に入れる速度、時間などを考える。
つまり一品ずつすべて一からの調理となるのだ。

初めて訪れたときのアスパラガス。
一本を二つに切る。
穂先に近い部分は比較的サッと揚げる。香りが青々しく、サクッという食感。
根元に近いほうは、じっくり油の中に入り、揚げた後も余熱で火を入れる。
食感はとろっとしてかつ甘味があふれるのであった。
この差異に驚き、これまでの天ぷらに対する思いが一気に方向転換したのだ。

冬場の根菜類もまた秀逸であった。
蓮根も切り方からして違う。
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魚介類も同様、驚きの連続である。
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すると料理人の志村剛生さんに俄然興味が湧いてくる。

来年秋には、志村さんの料理人人生を描いた本を書き下ろすことになった。
というわけで、当分は「成生」に通い続けなくてはならない。

来年もよろしくお願いします。

「成生」
静岡市葵区鷹匠2-5-12 1F
054-273-0703

投稿者 geode : 01:16