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2023年08月02日

「浪速割烹 㐂川 大阪・法善寺・日本料理

「上方食文化研究會」の食事会に参加した。

研究テーマは
「日本のエンタメ『元禄文化』に着目」
「上方文化の現代的解釈と伝播」とある。

「元禄文化」に着目というのが興味深い。

この食事会のテーマは「始末の心、喰い味、天下の台所」。
冒頭「浪速割烹 㐂川」の主人・上野修さんが
「無駄を出さない。
 魚は鯛を使うが部位ごとに応じた調理法を施し全て食べ切る。
 京の持ち味、大阪の喰い味など」と話してくださり食事は始まった。


 

座付
馬鈴薯の擦り流し
打ち胡葱

馬鈴薯の爽やかな味わい
すっきりした気持ちで始まる。

 

先付
食い出汁仕立て
枝豆ゼリー 糸長芋 雲丹黄身 香り柚子

枝豆ゼリーというか枝豆豆腐 口に含んだ時の枝豆の香りが鮮烈
そこに長芋や雲丹黄身などが絡む。
浪速らしい風情が漂ってきた。

 

楽盛
煮鮑と肝真薯 鰻の印籠煮 あこうと黄韭の煮こごり 
鱧の子酒盗に香り柚子 姫トマトの檸檬蜜煮
矢茗荷の新挽揚げ パプリカ酢取り

浪速割烹の面目躍如という印象を与える楽盛
鰻の印籠煮など古い仕事を現代に見事に蘇らせる技が光る。

 

割鮮
あこう 烏賊 蛸 北寄貝 鮪 穴子 鰹 鰯マリネ

割鮮とは鮮度のいい魚を切る つまり刺身のことを意味する。
しかし上野さんの盛り付けやそれぞれの技法を見ると創意工夫の結果が明確である。
鰹は藁で炙り、鮪はバルサミコ酢と土佐醤油、鰯は柚子胡椒でマリネ、ハリ烏賊は真昆布の佃煮、北寄貝は胡麻油、蛸はバジル酢という感じだ。

 

煮物
鱧のコンソメ仕立て
寄せ鱧、白芋茎、鱧笛、ディル、黒胡椒

真昆布が少なくなってきたのだ。
鱧の骨を使いコンソメをとる要領で少し白味噌を加えた後に澄ます。
これこそ「浪速割烹 㐂川」の伝統である。

 

焼物
蓼ドレッシング仕立て
大瀬戸伊佐木の酒汐焼き コリンキー 夏蕪 蓼葉

夏蕪の甘さと伊佐木との相性のよさ。

 

小菜
白酢和え仕立て
跳荒蝦 新蓮根 苦瓜 胡瓜 枸杞の実

ここでさっぱりと流れをフラットにする。
このあたりの供し方はさすがと言える。

 

主菜
ブルーベリーと黒酢風味の味噌和え
阿蘇あか牛と田鶴さんの茄子炭火焼き
白木耳 ズッキーニ

あか牛は噛むことで味わいがまし、
ブルーベリーと黒酢との出会いを喜んでいるようだ。
肉と果実の調和よし。
醤油や赤味噌の風味も生きる。

 

留椀
かちん粥

醤油風味のかちん(餅)が香ばしさを添える。
これも浪速料理の典型。

 

カレーを別注というかこれは外せない。

うまいのなんの。

 

デザート
フルーツゼリーのパッションフルーツ掛け ミント

甘さと爽やかさの融合。

 

茶菓は煎茶とのし梅。

 

 

浪速料理が何であるかを知るに足る晩餐であった。

 

 

「浪速割烹 㐂川」
大阪市中央区道頓堀1-7-7
06-6211-3030

 

 

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投稿者 geode : 10:00