2007年04月30日

「レザール・サンテ」   大阪・豊中     フレンチ

豊中の「レストラン・ミチノ・ル・トゥールビヨン」が
「レザール・サンテ」と店名も変更、野菜を中心としたカジュアルフレンチとした新たなスタートを切り一年が過ぎた。
その一周年記念のディナー。

オーナーシェフの道野正さんは、相変わらずパワフルでいつも元気で突っ走る。50歳を過ぎたシェフが元気というのはいい。
マダムがパティシエとして復帰。

アミューズグール
↓コロッケと赤・黄色のパプリカ
1020015.jpg

  1020016.jpg

料理は
↓鯛のスモーク グレープフルーツ添え
1020017.jpg

野菜の瑞々しさとスモークされた鯛の香りと味わいのバランスがシェフの特徴。最初から飛ばしていますね。新タマネギのピュレが甘さと風味をプラス。

↓カーポロネロのスープ ロックフォール風味
1020019.jpg

これもロックフォールの酸味と野菜のコラボレーションが見事に実を結んでいる。

↓鮮魚のポワレと2色のアスパラガス
1020020.jpg

イサキに塗られたソースはマヨネーズとタップナード、この酸味がイサキを生かす。ホワイトアスパラはボイル、グリーンはロティと仕事は細やか。

↓仔羊のナヴァランとイワシのスープ
1020023.jpg

   1020024.jpg

これはシェフならではの逸品。ここまでナヴァランを解体し、独自のスタイルで提供するのが道野さんの真骨頂。

↓枝豆と珈琲のクープ仕立て
1020026.jpg

1020027.jpg
↑イチゴのミルフィーユとのチョイスだが
両方食べてしまいました。

かれこれ20年近い付き合いになる道野シェフだが、今後のプランも明確に持っておられるのが頼もしい。それも決して守りの姿勢ではなく、どんな時でも攻めの気持ちというのがこちらにも伝わってくる。
うれしいディナーの時間であった。

「レザール・サンテ」
豊中市岡上の町4-1-7パヴィヨン豊中B1階
06-6848-2314

投稿者 geode : 09:05

2007年04月25日

「瑳こう」   大阪・本町    和食

「あまから手帖」の編集アシスタントが辞するので、編集部主宰の送別会。
会場は、大阪・御堂筋本町近くの「瑳こう」という居酒屋。
小さい雑居ビルの路地の奥。手前には「花舎」(ハナヤと読む)というお惣菜屋さんがあり、両親の店だ。
実は「瑳こう」の店主・田口尚孝さんも「花舎」で調理をしていた。5年以上前に独立し、泉州沖の魚介類を巧みに使うことで名高い。

↓まずホタルイカがでた。
1030141.jpg

さっとボイルしただけだがめっきり旨い。味噌の香りがたまらない。

↓続いて泉州の水ナス。
1030142.jpg

瑞々しいというのは、このナスに使う言葉、と思うぐらいである。

↓造りはタコ、カツオ、平目、コチ、スズキ、コショウダイがたっぷり。
1030144.jpg

どれも濃密な味わいで、それぞれしっかり主張を繰り返すのである。

↓一寸豆。
1030145.jpg

焼いただけだが、驚きの甘さである。

↓次は若たけ。
1030147.jpg

タケノコと菜っ葉とワカメ。シンプルにして滋味深い料理。

↓蓮根の天ぷら。
1030148.jpg

輪切りにするのではなく縦に切る。これがいいね。

↓トビあらの唐揚げ。
1030149.jpg

トビあらが滅法甘い。

↓里芋の天ぷら。
1030151.jpg

僕は、ここで終了し、
年に一度の「カツオの会」に参加するために出発した。

田口さんの魚を選択する眼力は強烈、という話題は広がりをみせた。
テーブル席でワイワイとやるのもよし、またカウンターでしっとり飲むのもおすすめである。
というのは、日本酒のチョイスも見事なので。

「瑳こう」
大阪市中央区北久宝寺町4-3-12 小原5ビル1階
06-6251-2357

投稿者 geode : 09:59

2007年04月23日

「菊乃井」    京都・円山公園    和食

京都・円山公園にある料亭「菊乃井」本店。
雑誌「和楽」贔屓の会というイベントに参加。「和楽」の読者が集まり「菊乃井」の料理を味わう。参加者は約30名、全国から。

まずは大女将の村田英子さんが、「京のしきたりや子供の育て方」などを話す。御年80歳の大女将さんの元気で前向きなこと。「どんなことがあっても、前向いて歩かなあきまへん」との言葉には説得力あり。

続いてご主人の村田吉弘さんと僕が「日本料理が求めるもの、そして料理と酒の関係」について対談(というより漫才でした)。
「日本料理は、品位と節度である」という話から海外の日本料理の動きまで、話題は広がるばかりであっという間の50分。

献立は
先付
↓鯛白子酒蒸し 生このこ ぽん酢掛け 春蘭 レモン汁
1030095.jpg

八寸
↓鯛木の芽寿司 蕨烏賊 一寸豆 蛍烏賊塩辛 蝶々長芋 飯蛸 
 花弁百合根 花弁独活 花見団子 鮑・海老・アボカド
1030096.jpg

向付
↓鯛 車海老 水前寺海苔 大根茗荷けん より独活 人参 山葵
1030098.jpg

↓鮪 黄味醤油
1030100.jpg

蓋物
↓若狭ぐじ桜花蒸し 蕨 煎り道明寺 露生姜
1030101.jpg

焼物
↓豆腐田楽 木の芽味噌 白味噌 
 紅鱒燻し焼き 姫皮山椒
1030105.jpg

   1030107.jpg

中猪口
↓海老スープ
1030109.jpg

酢肴
↓新もずく のれそれ たらの芽 露生姜 
1030110.jpg

強肴
↓若竹煮 鯛真子 若芽 菜種 木の芽
1030111.jpg

御飯
↓筍寿司  筍 ちりめん 揚げ 木の芽
   香の物  菜種漬け 昆布大根
1030115.jpg  

止椀
↓うぐいす仕立て 揚げ海老真丈 花弁独活 木の芽
1030113.jpg

水物
↓ピスタチオアイス マンゴーソース 
  マンゴー 天盛りピスタチオ
1030117.jpg

まあよくもこれだけ出ました。
参加者の皆さん「美味しかったです。お腹もホントにいっぱいです」
という感想がほとんど。
しかし、料理のバラエティ豊かなこと。そしてメリハリのついた内容。
中猪口に供された海老のスープは濃厚にしてクリア、まさに村田さんの料理を象徴していたのであった。

菊乃井
京都市東山区祇園円山真葛ヶ原
075-561-0015

投稿者 geode : 07:43

2007年04月21日

「岩さき」   京都・釜座通御池   和食

今年の2月、京都・釜座通りの御池を上がったところに開店したばかりの割烹。

玄関には、杉玉とすっきりした暖簾が客を迎える。これが清々しくて気持ちがいい。
1030027.jpg

店内は、カウンター6席(詰めれば7席可)と奥の個室が5席。これが掘り炬燵式のカウンターになっている。雰囲気よしだ。

お昼の3500円コース。

↓鯛の白子、トリガイ、子持ちワカメを軽い加減酢のゼリー。
1030031.jpg

生姜もきいてさわやかな前菜。食べる気分が高まってくる。

↓椀物はタケノコとワカメ。
1030033.jpg

この季節の定番だが味わいは結構濃厚。

↓造りはマグロと平目。
1030035.jpg

あらかじめ醤油で和えてあり、ネギなどの野菜と一緒に食べると味のふくらみがある。素晴らしき一皿。

↓お凌ぎにもずくうどん。
1030037.jpg

稲庭うどんにもずく、酸味のきいただし。ここでまた胃袋がすっとおさまりをみせる。

↓炊き合わせは、タケノコ、鯛の子、引き上げ湯葉。
1030038.jpg

優しい味わいで、ご飯が欲しくなる。

↓白ご飯と香のもの。
1030041.jpg

ご飯は土釜を使い、目の前で炊きあげたもの。
面白いのは途中でさっとかき回すことにより、焦げの味が米に移らないようにするのだと。このご飯が滅法旨い。

↓水物はイチゴ、ピンクグレープフルーツなど。
1030043.jpg

5000円になると鍋物が加わるとか。どのような鍋がでるか興味深い。

ご主人の岩崎義則さんは、「和久傳」で料理の世界に入り、そこから「祇園 丸山」「柊家」へ。ここでは料理長をつとめ、独立という。奥様も非常に明るい方でカウンターが華やいだ雰囲気というのもうれしい。

岩さき
京都市中京区釜座通御池上ル723
075-212-7800

投稿者 geode : 04:59

2007年04月11日

「一碗水」    大阪・堺筋本町  中国料理

大阪・堺筋本町の中華料理「一碗水」。
いま僕を刺激する料理店の一軒である。
料理のクォリティはもちろんのことだが、調理からサービスまで
全てを南茂樹さんが一人で仕切る技と姿勢には、いつも感動する。

京都の料理人も同行の食事。

↓前菜其の1 タケノコとフカヒレのにこごり
       ピータンと花山椒
i020812.jpg
ピリリと辛い味とタケノコなど食感の面白さ

前菜其の2 
↓空豆
i020814.jpg

↓新ゴボウのオイスターソース
i020815.jpg
味を含めた空豆、新ゴボウの濃厚な味。

前菜其の3
↓豚の大腸の詰め物
i020816.jpg

↓キクラゲと蕗の辛味
i020818.jpg
大腸は甘い味付け、野菜の苦味と素晴らしい。食感と辛味。

前菜其の4
↓豚バラ肉の塩漬け
i020819.jpg
軽い塩分によって豚が持つ甘味がほんのりと。

↓ホワイトアスパラのスープ
i020820.jpg
ホワイトアスパラのムースに清湯。すっきりした青味と甘味と旨味。

↓平目の炒めもの
i020822.jpg
肉厚の平目の凝縮した味、山ウドとイタドリの食感とほろ苦さ。

↓タケノコ
i020824.jpg
上にかかったのは、ふきのとうにワラビ、オイスターソースとピーナッツオイルで合わせたもの。このソースが美味。

↓ツブ貝と新ジャガイモとローメンレタスの鍋
i020827.jpg
ジャガイモのホクホクにレタスの甘味。

↓ホタルイカと魚醤の麺
i020828.jpg
ホタルイカのねっとり味噌と魚醤で和えた麺。
こういった使い方はここならでは。

あと、豆腐ようのアイスクリーム。

食べた瞬間、新しい料理という感覚を抱くが、どの料理も古典料理の再現もしくはそれをベースとして一部を南さんが現代的にアレンジしたもの。
どの料理もエッジが立っていて、中国料理の広がりと奥深さ、そして南さんのストイックなまでに料理を追求する姿勢に驚かざるをえない。

一碗水
大阪市中央区安土町1-4-5
大阪屋本町ビル1F
06-6263-5190

投稿者 geode : 11:21

2007年04月10日

「たけうちうどん店」  大阪・中津  うどん

中津の麺事情が大きく変わってきた。
以前アップしたラーメンの「麺や輝 中津たくろう店」、
うどんの「情熱うどん 讃州」などが開店し、面白くなってきた。
「情熱うどん 讃州」の開店からわずか2ヶ月後にオープンしたのが
「たけうちうどん店」。
1020889.jpg

工業デザイナーから福島の名店「やとう」で修業し昨年参入。

すでに名物となった「とり天ぶっかけ」を目指して訪れる客が圧倒的である。
この日も1時過ぎに出掛けたのだが、すでに売り切れ状態。「朝から鶏は12キロ仕込んだのですが、売り切れてしまったのです」と。この数字でも人気のほどが伺える。一人前150グラムから200グラム使うという。

そこで肉ぶっかけを注文。
1020888.jpg

これが素晴らしい。
麺は、まさにコシを実感できる歯応え。単純に硬いというのではなく、少し歯を押し返す力があり、次にスッと入ってゆき小麦の味が口の中に広がるのだ。
甘く炊かれた牛肉が、麺とよく合う。
あっという間に食べてしまった。

たけうちうどん店
大阪市北区豊崎5-2-19
06-6375-0324

投稿者 geode : 02:17

2007年04月09日

「ウスターソースのなぞ・・・」        エトセトラ

アンケートに答えるべく
ウスターソース11種とお好み焼きソース1種を買い込んだ。
1020836.jpg

1020838.jpg

1020839.jpg

ある本で、こんな一文を見つけた。
「英国には60もの異なる宗教があるが、ソースはただの一つだ」
というもの。

ウスターソースの発祥地はイギリス・ウスター市。
その昔、ウスター市に住むしっかり者の主婦が、野菜や果実の切れ端を捨てずに、こしょうや唐辛子などのスパイス、塩、酢などを加えて壺に入れておいたところ、数ヵ月後、芳香を放つソースができていたとか

こんな説もあり、それが有力だ。
1890年代後半頃ある貴族が、イギリスの植民地であったインドからソースの作り方を持ち帰り、薬剤師であった二人の人物(ジョン・リーとぺリン。現在そのままのブランド名となっている)に命じて作らせたものが発祥であるとされる。
リー・アンド・ペリン (Lea and Perrins) ブランドのウスターソースは、イギリスのみならず世界各国で広く使われていて、その製法は現在でも社外秘である。

よって、リー&ペリン社のウスターソースを基準とした。

1・リー&ペリンより旨い
2・リー&ペリンと同じ程度
3・リー&ペリンより不味い
4・ウスターソースかどうか分からない

そのままでは味気がない。
ソースはなにか食べ物と一緒で効力を発揮する。
1・まずはそのまま
2・揚げ物、コロッケと一緒に
3・事務所の女子チームに聞くとキャベツでしょ、と

深夜、我が家のテーブルはウスターソースとコロッケとキャベツに占領されたのでありました。
1020886.jpg

その結果、旨みを呈するところで
「オジカソース」の復刻版が一押し。 これには旨みを感じさせる昆布だしが入っておりました。

投稿者 geode : 01:36

2007年04月07日

「津むら」   大阪・新深江    和食

建築家と琺瑯の鍋を作る友人と久しぶりに新深江の「津むら」に伺う。
主の津村眞次さんは、男気のある料理人で真っ直ぐな性格。
「原価なんか計算したことありません。いちばんええ材料を買うことがいちばん」と言い切る人である。

前菜は
↓かんぴょう、ワカメ、菜の花、赤貝にオランデーズソース、酢ゼリー。
1020763.jpg

この加減酢のゼリーとソースが食欲を刺激して余りある。赤貝が旨い。

椀物は
↓赤甘鯛とよもぎ麩。
1020765.jpg

甘鯛とよもぎ麩の味わいが出しに溶け込んでゆくのが実感として分かる。

造りは
↓九州の天然の鯛。
1020766.jpg

ねっとりした歯触りというか舌にどんと乗っかかってくる鯛の持ち味が最大限味わえる。

お凌ぎに
↓桜の香りをつけた飯蒸しにイクラ。
1020767.jpg

このイクラが半端な量ではない。メインともなりうる一品である。

↓和牛、セリ、大根すきやき風。
1020768.jpg

こんな懐かしいというか食べ手の気持ちをくすぐる料理をさりげなく挟むのが津村さんならでは。

炭火焼は
↓たけのこ
1020770.jpg

↓たいらぎ(菊姫の酒粕漬け)
1020772.jpg

↓トリガイ
1020771.jpg

どれも香ばしさが生きる。たいらぎの香りが充溢である。

↓ イチジクの田楽。
1020774.jpg

これも津村さんの十八番。

天ぷら
↓琵琶湖の天然鮎、オクラ、自家製からすみ、キス、ヤングコーン。
1020775.jpg

からすみは熱を加えることによって香りは生きてくる。

↓カチョカバロ
1020776.jpg

岡山・吉田牧場の貴重なカチョカバロ。
焼くだけだが、少し焦げた部分の香ばしさと適度な塩分のマリアージュ。
これを入手できるのも津村さんの力なのである。

↓桜エビのごはん
1020777.jpg

この季節限定のご飯。

↓ワラビ餅に小豆。
1020779.jpg

本ワラビ粉を使うところは激減。ここは食感がちがう。

自由闊達な発想から料理を作る。
いつもアグレッシブな姿勢には、感心です。
堂々と胸を張って料理を作っているという気迫が感じられるのです。
とはいっても肩の力がすっと抜けているのが見事。

「津むら」
大阪市東成区大今里南4-1-7
06-6971-4441

投稿者 geode : 04:45